「感傷」という意味を、独自の説明で有名な新明解国語辞典で調べてみた。それによると「ちょっとした外界の刺激で発現する、物思いや悲哀の情、また甘美の思いにふけるなどの心的状態」という少し笑えてしまう説明がされていた。
この1週間で2つの演劇をみてきたのだが、両方ともとてもよい印象を受けた。ひとつはコメディ、もうひとつは生死を扱ったドラマで、強く訴えかけるものがあった。俳優たちが熱心に演じてくれた劇に、ためらいもなく拍手をおくることができた。
だが、あえて余計なことをいうと、感傷が目立つ。両作品に限ったことではなく、戯曲・脚本の書かれ方が感傷的な方向にかたむく作品が多いのは気のせいだろうか。好みはそれぞれで、センチメンタルな涙やささいな心理の綾を好むひともいる。「いい作品なのに感傷的だった」というと全体がマイナスな印象をもつので、「感傷的なのに、いい作品だった」と表現したい。「感傷的」であることが、いい作品の欠点であるのか。
両作品および一般の戯曲・ドラマに多くみられる感傷はこんな気をおこさせる。「どこかで見たこと、聞いたこと、感じたことあるな」と。たとえば、二人の男女が恋をする場面で、セリフや行為にはっと驚くことが少ない。テレビドラマで使われた類型的な恋愛表現のように思えるのだ。実際に恋愛している男女はそれほど単純ではないだろう。
俳優の演技については問わない。戯曲や脚本がどこまで生の人間のことばや行為に迫れるか、この点がいくぶん欠けているように思える。物語はうまいし、視点もたしかなのだが、実際に生活している人間を掘り下げるまでには至っていない。
「ちょっとした外界の刺激」をくすぐるような感傷的な作品から脱却することは並大抵のことではない。少ない劇作家だけが人間ドラマにまで到達した作品を残している。感傷は敵。こころを強くゆさぶるドラマを見たい。
この1週間で2つの演劇をみてきたのだが、両方ともとてもよい印象を受けた。ひとつはコメディ、もうひとつは生死を扱ったドラマで、強く訴えかけるものがあった。俳優たちが熱心に演じてくれた劇に、ためらいもなく拍手をおくることができた。
だが、あえて余計なことをいうと、感傷が目立つ。両作品に限ったことではなく、戯曲・脚本の書かれ方が感傷的な方向にかたむく作品が多いのは気のせいだろうか。好みはそれぞれで、センチメンタルな涙やささいな心理の綾を好むひともいる。「いい作品なのに感傷的だった」というと全体がマイナスな印象をもつので、「感傷的なのに、いい作品だった」と表現したい。「感傷的」であることが、いい作品の欠点であるのか。
両作品および一般の戯曲・ドラマに多くみられる感傷はこんな気をおこさせる。「どこかで見たこと、聞いたこと、感じたことあるな」と。たとえば、二人の男女が恋をする場面で、セリフや行為にはっと驚くことが少ない。テレビドラマで使われた類型的な恋愛表現のように思えるのだ。実際に恋愛している男女はそれほど単純ではないだろう。
俳優の演技については問わない。戯曲や脚本がどこまで生の人間のことばや行為に迫れるか、この点がいくぶん欠けているように思える。物語はうまいし、視点もたしかなのだが、実際に生活している人間を掘り下げるまでには至っていない。
「ちょっとした外界の刺激」をくすぐるような感傷的な作品から脱却することは並大抵のことではない。少ない劇作家だけが人間ドラマにまで到達した作品を残している。感傷は敵。こころを強くゆさぶるドラマを見たい。
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