ピランデッロの『作者を探す六人の登場人物』じゃないが、火事をさがす三人の消防士を見てしまった。
上野駅でバイトだったのだが、今夜はボヤ騒ぎがあり、はじめ警察官三人が目の前を通りすぎた。何かあったなと思ったのだが、まもなくして外が騒がしくなり消防士が三人通り過ぎた。
のはずだったが、なにかおかしい。通り過ぎたはずの消防士が店の前をうろうろ行ったり来たりしているのだ。携帯電話で誰かと連絡をとっているのだが、彼らはいっこうに現場に向かわない。決して偽者ではない、きちんと重装備をしている本物の消防士なのだ。まあ、指示を出す人の指示待ちなのだが、なぜか緊迫感もなにもない。俺たちはどうすりゃいいの?といった感じだ。
ま、ほんとささいなボヤ騒ぎで、当人たちも広い駅の中を暑苦しそうな姿で動き回るわけにもいくまい。
会話の中身も聞こえてきた。先頭のベテラン消防士が「おれのあとをきちんとついて来いよ」といって向かおうとするのだが、うしろの中堅の二人の消防士は距離をとってベテランの後をついていかない。ベテランがあっちに行こうと指差せば、中堅二人は反対の方向に行きたがっている。結局、火元がどこだかわからないのだな。半分、ガセネタなのかと疑っているのかもしれない。
そんなこんなで、悠長に火事を探してうろうろしていた三人の消防士は、いつのまにか消えていた。賞味五分。緊迫感のない火事だからだろうか、さっそうと外から登場してきた三人の消防士は、火事を探して上野駅のなかでうろうろしていたわけだ。背中の酸素ボンベらしいものも、こけおどしだったようだ。
こんな状況、戯曲に書いたらおもしろそうだな。別役実あたりがおもしろく書きそうだ。
おもしろいものを見させてもらった。楽しい火事だったようだ。
上野駅でバイトだったのだが、今夜はボヤ騒ぎがあり、はじめ警察官三人が目の前を通りすぎた。何かあったなと思ったのだが、まもなくして外が騒がしくなり消防士が三人通り過ぎた。
のはずだったが、なにかおかしい。通り過ぎたはずの消防士が店の前をうろうろ行ったり来たりしているのだ。携帯電話で誰かと連絡をとっているのだが、彼らはいっこうに現場に向かわない。決して偽者ではない、きちんと重装備をしている本物の消防士なのだ。まあ、指示を出す人の指示待ちなのだが、なぜか緊迫感もなにもない。俺たちはどうすりゃいいの?といった感じだ。
ま、ほんとささいなボヤ騒ぎで、当人たちも広い駅の中を暑苦しそうな姿で動き回るわけにもいくまい。
会話の中身も聞こえてきた。先頭のベテラン消防士が「おれのあとをきちんとついて来いよ」といって向かおうとするのだが、うしろの中堅の二人の消防士は距離をとってベテランの後をついていかない。ベテランがあっちに行こうと指差せば、中堅二人は反対の方向に行きたがっている。結局、火元がどこだかわからないのだな。半分、ガセネタなのかと疑っているのかもしれない。
そんなこんなで、悠長に火事を探してうろうろしていた三人の消防士は、いつのまにか消えていた。賞味五分。緊迫感のない火事だからだろうか、さっそうと外から登場してきた三人の消防士は、火事を探して上野駅のなかでうろうろしていたわけだ。背中の酸素ボンベらしいものも、こけおどしだったようだ。
こんな状況、戯曲に書いたらおもしろそうだな。別役実あたりがおもしろく書きそうだ。
おもしろいものを見させてもらった。楽しい火事だったようだ。
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