「むかい通るは清十郎ではないか、笠がよく似た、菅笠が・・・」
お夏は半狂乱になって、けらけら笑いさまよい歩いた。
清十郎が処刑されたことを、巷の子どもたちの小唄で知ったのである。
ときには、自分で音頭をとり、歌うのであった。
シェイクスピアの『リア王』のなかにもあったっけな。
「心が乱れてしまえば、悲しみに浸されることがなく、苦しみは夢想にまぎれてなくなってしまう」(大意)〜グロスターの台詞
カミュはこんな逸話を紹介している。
〜大真面目に、風呂場で釣り糸を投げている狂人に向かって、担当医は気をきかして「釣れますか?」といった。
狂人は「そんなの。釣れるわけないでしょう」といって、相変わらず風呂場で釣りをしていた。
お夏に清十郎は見えたのであろうか?お夏は悲しみつつも、里山を行進したのだろうか?いやいや。
きっとお夏は、清十郎がいないことを知りながら、清十郎をそこに求め続けたのだろう。
ドンキホーテも実は、風車など見えなかったのかもしれない。
そこに何もないことを知りながら、わたしたちはお墓に手をあわせる。
向こう通るは清十郎じゃないか?
清十郎じゃないのだが、きっと清十郎なのだろう。
そこに何のおかしいことがある?
お夏清十郎(その2)
お夏は半狂乱になって、けらけら笑いさまよい歩いた。
清十郎が処刑されたことを、巷の子どもたちの小唄で知ったのである。
ときには、自分で音頭をとり、歌うのであった。
シェイクスピアの『リア王』のなかにもあったっけな。
「心が乱れてしまえば、悲しみに浸されることがなく、苦しみは夢想にまぎれてなくなってしまう」(大意)〜グロスターの台詞
カミュはこんな逸話を紹介している。
〜大真面目に、風呂場で釣り糸を投げている狂人に向かって、担当医は気をきかして「釣れますか?」といった。
狂人は「そんなの。釣れるわけないでしょう」といって、相変わらず風呂場で釣りをしていた。
お夏に清十郎は見えたのであろうか?お夏は悲しみつつも、里山を行進したのだろうか?いやいや。
きっとお夏は、清十郎がいないことを知りながら、清十郎をそこに求め続けたのだろう。
ドンキホーテも実は、風車など見えなかったのかもしれない。
そこに何もないことを知りながら、わたしたちはお墓に手をあわせる。
向こう通るは清十郎じゃないか?
清十郎じゃないのだが、きっと清十郎なのだろう。
そこに何のおかしいことがある?
お夏清十郎(その2)
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