お夏のことを考えていてふと思った。
彼女の一途な想いの狂乱と、清十郎への供養をかかさず尼さんになったという逸話の間には、矛盾がある。
西鶴は、お夏は心を静めたという記述をしているが、ぼくは、これはふたつの伝説、もしくは言い伝えを、混ぜ合わせたものでないかと考える。
お夏は、ある者には気が狂ったように見え、別な者にはあわれみを催すような悲しみをためこんでいるように見え、また別な者にはいたって穏やかに見えたのかもしれない。
お夏は長生きをするように思えてしかたがない。
西鶴や近松が小説や狂言に書いたとき、その少しはなれた里山に、お夏はひっそりと生きていたのかもしれない。彼女を興味本位で詮索しに来る物好きも、いなかったわけではないだろうが・・・
そういった、伝承についてや、ゴシップについて言いたかったわけでない。
彼女の献身的な愛。浮世男だった清十郎にすべてを委ねてしまったこと。彼女にとって、清十郎はすべてであり、おそらく清十郎と自分の区別がつかなかった。お夏の心の中では、まさしく融合していた。
すべての事件が急展開で連続した。
反省や、熟慮する暇もなく、青春を駆け抜けていったお夏。
「これぞ、恋の新川、舟をつくりて、おもいをのせて、うたかたのあわれなる世や」
そう。あぶくでしかなかったお夏と清十郎。
あわれな世の中だ。
お夏清十郎
彼女の一途な想いの狂乱と、清十郎への供養をかかさず尼さんになったという逸話の間には、矛盾がある。
西鶴は、お夏は心を静めたという記述をしているが、ぼくは、これはふたつの伝説、もしくは言い伝えを、混ぜ合わせたものでないかと考える。
お夏は、ある者には気が狂ったように見え、別な者にはあわれみを催すような悲しみをためこんでいるように見え、また別な者にはいたって穏やかに見えたのかもしれない。
お夏は長生きをするように思えてしかたがない。
西鶴や近松が小説や狂言に書いたとき、その少しはなれた里山に、お夏はひっそりと生きていたのかもしれない。彼女を興味本位で詮索しに来る物好きも、いなかったわけではないだろうが・・・
そういった、伝承についてや、ゴシップについて言いたかったわけでない。
彼女の献身的な愛。浮世男だった清十郎にすべてを委ねてしまったこと。彼女にとって、清十郎はすべてであり、おそらく清十郎と自分の区別がつかなかった。お夏の心の中では、まさしく融合していた。
すべての事件が急展開で連続した。
反省や、熟慮する暇もなく、青春を駆け抜けていったお夏。
「これぞ、恋の新川、舟をつくりて、おもいをのせて、うたかたのあわれなる世や」
そう。あぶくでしかなかったお夏と清十郎。
あわれな世の中だ。
お夏清十郎
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